ノベルログ

フリーゲームのノベル・ADVのレビュー(感想)など

カテゴリ:現代ドラマ

悪魔は囁くだけ ―復讐―

sasayakudake

美雪、千花、沙月は中学の頃いつも一緒にいた仲良し三人組だった。
しかし、高校生になった今、沙月はクラスから疎外されており、美雪と千花は見て見ぬふりをしていた。
罪悪感を抱えながらも、何もできずにいた美雪だったが、ある日を境に、美雪もイジメの標的となる。
辛い毎日に耐えかね、自殺を図ろうとした美雪の前に美しい悪魔が現れ、美雪に契約を持ちかけるが……。


美しい悪魔と愚かなニンゲンたちの不条理ヒューマンドラマ。

青年の姿をした麗しい悪魔から、“復讐”するための力を与えられた美雪。
復讐に身を委ねるか、悪魔の囁きに抗うか。
自分を裏切った友人への憎しみに揺れ惑う美雪の心の動きが丁寧に描かれています。

甘い言葉で美雪を魅了する悪魔の誘惑がいちいちエロくて、妙にドキドキしてしまいましたね。
悪魔が欲しているのはあくまで食料としての美雪の魂なのですが、なんだか別の誘惑をされているように思えてならず。

エロいエロいと思いながらプレイしていたら、ガチでエロいエンディングもあって吹いた。(性描写はありません)
美雪が「あたしを抱いて」と言った時の、悪魔の意地悪な言葉責めったらもう。

13種類ある結末は全てバッドエンド。
悪魔の囁きに翻弄されるニンゲンたちの、不条理と残酷に満ちた物語。

こういったコンセプトの作品なら、もっとエグい結末だらけでも良かったような。


【HP】sweet ampouleスマートフォン版] 
【媒体】iOS/Android 
【ジャンル】ノベル 
【価格】170円⇒無料
【プレイ時間】周:1時間/総:2時間半 
【ツール】Artemis Engine 
【容量】13MB
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カテゴリ: スマホ(ノベル)  現代ドラマ 

HANA-時計

神様なんていない。いるはずない。
いるんだとしたら、あまりにも世界は不公平すぎる──。


とある公園の花時計を舞台にした8つの短編集。

花時計には1時間ごとに変わる仕掛けが施されており、8つの短編の中で、登場人物たちがそれぞれの時間帯で異なる仕掛けに出会います。

登場するのは、人付き合いの下手な作曲家、将来に漠然とした不安を抱える優等生、恋人に酷い言葉で振られた女性、夫に先立たれ生き甲斐を失った老女など。

年齢も境遇も様々な彼らが1つの花時計と出会うことで、自分を見つめ直したり、前向きになれたり、ほんの少し変わったり変わらなかったりするお話。

特に大きな展開は無く、どうということはない話ばかりですが、心がほんのり温かくなる短編集でした。


【HP】Empty Shadow 
【媒体】iOS/Android 
【価格】無料 
【ジャンル】ノベル(選択肢なし) 
【プレイ時間】40分 
【ツール】Artemis Engine

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カテゴリ: 現代ドラマ  スマホ(ノベル) 

ぐっと正しいゲームの作り方

ロープレ・ツクレールでこっそりゲームを作っている私。
ある日、二階の自室でツクっていると、窓からゴスロリ少女が入ってきた。
少女はゲームの堕天使・ベルンハルディーネと名乗り、「この世にゲーム作者なんていない」などと言う。
彼女が言うには、人間が『ゲーム』と認識しているものは、天使から与えられた果実を人間が形にしたものにすぎないらしい。
ベルネは果実を与えられていない私を本物の作者にすると宣言し、頻繁に私の部屋を訪れるようになるが……。


『正しいゲームの作り方』『きっと正しいゲームの作り方』に続き、シリーズ第三弾。
自称「ゲームの堕天使」のゴスロリ少女が、ゲーム製作初心者の主人公にゲーム論をあれこれ語ります。

果実や兆し云々の妄言はさておき、ゲームを作る上での問題意識などについては、それなりに納得しつつ読めました。

一作目に続いて「一本道ノベルのゲーム性」という論題がやたらと出てきますが、作者さん的にこだわりのテーマなのでしょうか。

ベルネの正体が本当に堕天使だったりしたらどうしようかしらんと思いながらプレイしていましたが、事実を知ると、哀れな人でしたね。
そこまで深く傷ついて、作者としての自分を抹消して、それでもゲーム作りをやめることが出来ないのは、創作者ゆえの業なのでしょうか。

本編終了後のスコアアタックは蛇足だったような。


【DL】Free Game Classic第5回コンテスト[14] 
【HP】- 
【ジャンル】ノベル(選択肢なし) 
【プレイ時間】20分 
【ツール】吉里吉里2/KAG3
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カテゴリ: 現代ドラマ 

The marks

日常の全てが無味乾燥で、まるで記号のように見える。
そう上司に告げたのは失敗だった。
おかげで、クリニックで視力検査なんて受けさせられる羽目になったわけだ。
「あなたとはもう付き合っていられない」
二ヶ月前に別れた彼女の言葉が、まだ僕の心に刺さっている。
検査が終わり、このまま帰る気分になれなかった僕は、知らないパーティーに紛れ込むが……。


アートノベルというか、ノベル付きアートというか。
精神を病んでいる青年の視覚を通した心象風景のようなものが、様々な幾何学模様で描かれています。

本作はツクールのRTPだけでゲームを作る企画「ランタイムパーティー!!」の参加作品で、RPGツクール2000に付属している標準素材のみで作られているのですが、地形を作るためのマップチップを使用して独特の図形アニメーションが展開されており、驚きました。

BGMも変わっているなと思ったら、効果音のみで作られているのですね。

このRTP祭りは、いわばグラフィックでの勝負を封じている企画なわけですが、そこを逆手に取って、制限された素材のみで映像美を作りあげようという発想が素晴らしい。

シナリオのオチにも、ほんのり和みました。


【HP】ヤルハラ 
【DL】Run Time Party!!>エントリーNo.69 
【ジャンル】ノベル 
【プレイ時間】5分 
【容量】442KB 
【ツール】RPGツクール2000
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カテゴリ: 現代ドラマ 

私に咲く華を見て彼は笑った【精神≠現実】~孤立~

高校生の天音託斗の家の近くに、親戚の山守家が引っ越してきた。
山守家の長女の未央とは小さい頃によく遊んだらしいが、あまり覚えていない。
再会した中学生の未央は、楽しげに託斗との思い出を語った後、別れ際に呟いた。
「未央が殺されるまでに、あと何回託斗お兄ちゃんに会えるかな……?」


陰鬱なジュブナイルノベル。
青春、サイコホラー、サスペンス要素あり。

「殺される」と訴える少女の言葉は虚偽か真実か。

託斗視点の表プロットと未央視点の裏プロットがあり、表と裏の狭間でプレイヤーに問いかけてくるメタ的な存在もあります。

自分を救ってくれる白馬の王子様を求めて縋り付いてくるヒロインと、間違った正義感を発揮して見当違いの方向へ突っ走る主人公。
周囲の忠告に耳を貸さずに、二人して勝手に泥沼へズブズブ沈んでいっているわけで、鬱陶しい事この上ない。

ヒロインの未央にはムカムカしっぱなし、主人公の託斗にはイライラしっぱなしでした。
この二人で延々ジメジメしている中盤は、しんどかった。
逆に周囲の人間はいい奴らばかりで、輝たちの存在には救われました。

終盤の警察との対決は、なかなか燃えた。
終始鬱陶しかった未央に関しても、彼女のエピローグには大いに泣かされてしまい、最終的には清々しさの残る物語でした。

作中で未央にとって都合の悪い人物が忽然と消えた時は、「未央、殺ったか!?」と焦りましたが、そこまで悪い娘ではなくて良かった(笑)

いろいろと謎が残っているので、次作の「~存在~」編に期待です。


【HP】NeOres 
【ジャンル】ノベル 
【プレイ時間】6~7時間 
【容量】212MB 
【ツール】NScripter
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カテゴリ: 現代ドラマ 

I can fly.

青年実業家に囚われ、高級ホテルの最上階に監禁されているあなた。
首輪を付けられ、両手首と右足を鎖で繋がれている。
I can fly. I can fly. I can fly.──
あなたは心の中で、何度も繰り返し唱え続ける。
忘れてしまわないように。ずっと憶えていられるように……。


2009年エイプリルフール限定配布の監禁脱出ゲーム。
青年に従うふりをしながら、脱出方法を探りましょう。

ヒロインを監禁している青年は、余裕のある時は気取った喋り方で彼女に優しく接しますが、自分の思い通りにならないと口汚く罵りながら乱暴を働く、矮小な人間です。
現実に普通にいそうなタイプだけに、青年への嫌悪感が募りました。

エンディングは7種類。
剃刀で青年を殺したり、自ら首を掻き切って自害したりと、概ね血まみれの結末。
ヒロインだけに可能な唯一の脱出方法を見つけることで、トゥルーエンドへ到達します。

トゥルーエンドで二人の過去と真実を知ると、青年への嫌悪が同情に変わりました。
幸運の女神を手に入れたことは、彼にとって幸福だったのか不幸だったのか……。
ヒロインが彼のもとを去った後、彼はどのように生きていくのだろうか、と考えてしまいます。

ただの脱出ゲーに見えて、思いがけず心に残る物語でした。

※配布終了

【HP】ミニポテト(2009/10/20休止) 
【ジャンル】ADV 
【プレイ時間】15分 
【容量】12.9MB 
【ツール】NScripter 
【備考】2009/4/1限定配布、4/25-26再配布
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カテゴリ: 現代ドラマ  April2009年作品 

夜の目

ある日、トモキは酷く暗い目をした少年サトシに出会う。
トモキと同じ十歳かそこらで、全身が痣や傷だらけ。
その傷はどうしたのかと訊くと、父親に殴られたと言う。
父親は自分を大切に思っているから、躾のために自分を打つのだ、愛情表現だ、だから痛くない、嬉しい……とサトシは死んだ目で語る。
トモキはその後、度々サトシと会うようになるが……。


2009年正月限定配布の「福袋」に収録された短編。
父親から虐待を受けている少年の病んだ心を描いた鬱ノベル。

自分は父親に愛されているのだと自分に言い聞かせ、瀕死の心を必死に守ろうとするサトシの姿が痛々しい。

トモキの人格が生まれた時点で、サトシの心は既に限界を迎えていたのでしょうね。

狂気に満ちた破滅的な結末でありながら、もの悲しいラストでした。

トモキの正体を明確には書かずに、軽く示唆するだけに留めているのが良い。

新年早々、こんな鬱ノベルを福袋に仕込む各命堂さんが好きです。

本編を読み終わると、サトシの父親視点「もうひとつの目」へ。


※配布終了

【HP】各命堂(閉鎖)
【ジャンル】ノベル 
【プレイ時間】10分+おまけ3分 
【容量】4.96MB 
【ツール】NScripter 
【備考】2009/1/1-10限定配布
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カテゴリ: 現代ドラマ  季節(その他) 

暑い日にはお話を

あっつー。蒸し蒸しするぅ。
うちのクーラーが壊れたからアンタの部屋に涼みに来たのに、こっちもクーラー壊れてるなんて。
しかもなんで扇風機ないのよぉ。
あーもうっ。暑くて動く気にならないー。でもヒマー。
ねぇ、暇つぶしに話でもしてよ。なんか涼しくなるようなさぁ。
せっかく夏なんだし怖い話とか?
そんな感じで話してよー。ねぇねぇ。


彼女に怖い話をせがまれ、彼氏が仕方なく話してあげる短編。
「石を積む子」「視線を感じて」「お人形」の三つのお話があります。

一応オカルト系の話ではありますが、特に怖くはなく、ちょっぴり悲しかったり切なかったりする三編。
話が一つ終わる毎に、彼女が疑問点を挙げたり突っ込んだりして感想を述べ、彼氏がそれに答えています。

単に三つのお話が収録されただけの掌編集なら、さほど印象に残ることは無かっただろうと思いますが、合間合間に彼女と彼氏のユルい解説語りが挿入されることで、不思議と良い味が出ていました。
この手法は、なかなか使えるかも。


【HP】路地裏の茶屋 
【ジャンル】ノベル 
【プレイ時間】10分 
【ツール】吉里吉里2/KAG3 
【容量】21MB
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カテゴリ: 現代ドラマ 

奇形児

学校では苛められ、家では母親の恋人に虐待されている小学五年生の北川可奈。
公園で自殺を考えていた可奈は、同じように自殺するために公園を訪れた専門学校生の高橋明彦と出会う。
彼は、可奈と“同類”だった。
家に帰りたくない可奈は、明彦のアパートに身を寄せるが……。


どす黒い風刺ノベル。
11歳の少女と19歳の青年、二人の社会不適応者が寄り添い慰め合う友情物語。
……かと思いきや、後半のえげつなさに唖然。

気弱だけれど心根の優しい人間であるかのように見えていた明彦が汚らしい本性を出した場面は寒気がしました。
彼の卑屈で姑息な、目を背けたくなるような醜悪さは、妙にリアリティがあって嫌になります。

社会は弱者を虐げ、弱者は、より弱い者を虐げる。
生まれ持った歪みゆえに社会から疎外される“奇形児”の悲哀と共に、人間そのものの歪みを浮き彫りにした作品でした。

スタッフロール後の「To be continued」に驚いた。
あのラストから、一体どうやって続くのやら。

一言二言の短い台詞の度にいちいちウェイトが掛かってメッセージウィンドウが出たり消えたりするので、目がチカチカして辛かった。
一枠ごとの台詞が細切れにされまくっているせいで、余計にダメージ大。
あまりにもチカチカ鬱陶しいので、ある程度スキップしてからバックログでまとめて読むしかないか……と対策を考えてみるものの、なんと吉里吉里なのにバックログ無し。
ストーリーは面白かったので、何とか我慢して最後まで読みましたが、かなり目が疲れたし、ストレスが溜まりました。


【HP】ALIBI 
【対象】15禁 
【ジャンル】ノベル(選択肢なし) 
【プレイ時間】1時間 
【ツール】吉里吉里2/KAG3 
【容量】12.7MB
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カテゴリ: 現代ドラマ 

Monster

ある日、真夜中に目が覚めた私は、緑色の醜悪な化物になっていた。
どうやら化物になるのは夜の間だけで、朝になると元に戻るようだ。
なぜ自分が化物になるのか考え続けた私は、原因は妹ではないかと思い当たる。
なぜなら、私は妹のことを殺したいほどに憎んでいたから……。


鬱なクリスマス短編。
貧乏な母子家庭で浪費を繰り返し母親を苦しめている妹が最悪で、殺したくなる主人公の気持ちがよく解ります。

前作『あの夏祭りで誰が死ぬ?』も貧乏な母子家庭の話で、容赦の無い貧乏描写が辛すぎたのですが、この作者さんは何か貧乏に思い入れでもあるのでしょうか。

やがて主人公は妹を殺す決意をしますが、事態は思わぬ方向へ……。

主人公にどっぷり感情移入してしまい、悲しくて苦しくて仕方なかった。
重苦しいストーリーとは裏腹に、ゲーム画面はクリスマス風にデコレートされ、明るいクリスマスソングが鳴り続けています。
このちぐはぐな落差がシュールで何とも言えない。

読み終えた後は、どうしようもなく重い虚脱感が残ります。
救いが無さすぎて鬱。


【HP】どこだい 
【ジャンル】ノベル(選択肢なし) 
【プレイ時間】30分 
【ツール】NScripter 
【容量】8MB
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カテゴリ: 現代ドラマ  季節(クリスマス)